エンジニアのための実用統計学と信頼性解析                                                 


1.本サイトの目的
 一般的なエンジニアが統計的分野の知識を得るにあたっては、数多くの文献が出版されておりまた統計分野を解説するサイトも非常に多く、知識を得るだけならそんなに苦労は要らない。尤も医療統計データ(臨床試験データなど)を扱う分野は別な世界であり、初めて聞くような手法や数理が展開されるので一筋縄ではいかないが・・・。幸いなことに一般的なエンジニアに必要な統計知識は、そのような範囲までは要らないので安心である。ましてや統計屋若しくは数学屋になることが目的ではなく、エンジニアが知りたいのは自分が開発した製品の機能特性が仕様を十分に満足し、所要の信頼性を有するかの一点である。しかしエンジニアが統計手法をいざ実践しようとすると、具体的にどの様なツールを用いてどのように解析すればいいか分からない事が多いのも事実である。正直管理人も統計学を学び始めた頃仮説検定の理論は理解できたが、これをどのように実践すればいいかまでは直ぐには分からなかった。文献(書籍)や多々ある解説サイトは概ね理論が先行する記述となっており、エンジニアが知りたい情報と統計理論が直観的に繋がらないのも理由の一つである。製品を短期間に且つ最適品質水準で開発しなければならない割には、エンジニアには時間も試料を製作する開発コストも潤沢に与えられておらず、その上で開発ステップ毎に設けられているDR(設計審査)において、製品が所要の機能特性を満足し適正な信頼性を有することの客観的証拠を示す必要がある。しかし現実的な問題として、統計的な手法を実践できるまでのスキルを身に付ける時間的な余裕はなく、本サイトはそのような一般的なエンジニアの方々に、特に信頼性解析の実践を支援する目的で立ち上げたものである。

2.本サイトの構成
 目的にあるように本サイトは実践面に重きを置いており、統計解析、信頼性解析とも理論編と実践編により構成されている。つまり主体は実践編にある訳であるが、実践編にある統計的な表現方法(言葉)や計算結果が、どのような考え方や理論を背景にしているかが理論編の位置付けである。統計解析は面白い学問で少し勉強すれば答えは得られるが、その答えをどのように解釈(判断)すべきか迄は答えてくれない。理論編は解釈(判断)レベルを一定の水準に引き上げるため、及びツールが要求(入力を)する解析条件が何を意味するかなど、実践する上での最低限の知識だと思って頂ければいいと思う。仮に母集団のパラメータを試料統計量で言い張ったとしても、その危険性を知っているのと知らないのでは大違いだと言うことである。

 信頼性解析  統計解析 品質管理・ツール他 
 ➡ 信頼性解析(理論編)  ➡ 仮説検定(理論編)  ➡ 工程能力と公差解析(理論編&実践編)
 ➡ 信頼性解析(実践編)  ➡ 仮説検定・推定(実践編)  ➡ 試料数・検出力(理論編&実践編)
 ➡ 機械・設備の安全性評価と信頼性データ  ➡ 推定(理論編)  ➡ ゲージR&R     編集中
 ➡ 電子機器の信頼度予測   ➡ 実験計画法(ANOVA1,2/理論編 )  ➡ SA&RA ProX
 ➡ 設計FMEA  ➡ 実験計画法(L#直交表/理論編)   ➡ 設計検証・妥当性確認(理論編&実践編)   編集中
   ➡ 実験計画法(実践編)  

3.統計解析ツール(SA&RA ProXについて)
 実践編で検証に使用しているツール(SA&RA ProX)は管理人が開発した統計解析と信頼性解析の専用ツールで、Windows上で動作するプログラムである。この分野では国内外から各種ソフトが商品として市場に多く提供されており、また個人プログラマーのフリーソフト、シェアウェア、ExcelVBAによるプログラムなども多くリリースされている。またオープンソースで全世界的な展開がされている解析ソフトR(無料)では、多くのコミュニティから種々の共用化プログラムが公開されており、特に大学などではRを利用されている方々も相当な人数になるものと思われる。実践する上でツールの選択肢はふんだんにあることになるが、この分野のソフトはユーザーにある程度のスキルを必要とするものも多く、エンジニアにとっては逆に何れを選択すべきか迷うところである。管理人はリタイヤ以前に勤めていた会社で、会社共用の統計ツールを開発していた経緯があり、SA&RA ProXはそのスキルによるものである。もう一つの理由として、”空気圧-試験による機器の信頼性評価”ISO19973-1/JIS B8672-1の編集員に携わった経歴があり、その際にFM信頼限界を検証できる日本語ツールがなく、信頼性解析プログラムを開発する必要性があった事もその一因である。SA&RA ProXのメインウィンドウと解析可能リストを以下に示すが、共有ツールとしての位置付けのため製造プロセスで使用する品質データ分析も含まれる。
             (SA&RA ProX メインウィンドウ)
 
 
 
 ※リスト以外に機械設計(ばね設計、ねじ強度設計、公差解析)を同梱
 この程度のプログラムはどこにでもある代物であるが、一般的なエンジニアが製品の開発プロセスで検証するためのツールとしては十分である。現時点では公に供給(フリー若しくはシェアウェア)する事は考えていないが、必要に応じて提供する用意はある。


管理人へのご質問・お問い合わせ
 実際のデータ解析(演習問題や例題なども含む)のご依頼を除き、本サイトに記載されている内容事項についてのご質問、また信頼性解析・統計解析などについて社内セミナーなどのご要望がございましたら、下記メールアドレスに直接送信して下さい。セミナーにつきましては、管理人が開発した統計解析ツール(SA&RA ProX)による実践を含みます。なお当管理人は、統計屋でも数学屋でもなく一介のエンジニアですので、理論検証に関するご質問にはお答えできない場合があります。
 メールアドレス:me262naka@jcom.home.ne.jp


管理人について(自己プロフィール)
 ●経歴
  広島県立皆実高等学校卒業
  広島工業大学 電子工学部卒業
  日本電熱株式会社勤務
  焼結金属工業株式会社(現SMC株式会社)勤務
  ※現在はリタイヤして活動中。
 ●職歴
  新製品開発、設計開発(電子回路他)、TQM推進責任者、統計的手法の普及活動
  信頼性向上PJ責任者、社内統計解析・信頼性解析ツールの開発及び教育、設計標準化など
 ●その他
  ”空気圧-試験による機器の信頼性評価-第一部”ISO19973-1/JIS B8672-1の編集員として、同規格の記載内容を共同編集
  品質管理検定2級(合格証No. 122-202035)  


参考文献・参考資料・参考規格など
管理人が信頼性解析及び統計解析の知識を得るために参考とした文献・資料・参考規格などを示す。この他に統計解析ツール「SA&RA ProX」を開発するに当たっては、現時点では休眠状態となっている「activebasic.com」のプログラム開発ツール「ActiveBasic4.24」を使用している。また各分布の確率や%点の計算及び特殊な関数(Γ関数、LogΓ関数、不完全β関数比など)の計算アルゴリズムについては、http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/index.htmなどを参考にさせて頂いた。
1)信頼性解析
 益田昭彦・鈴木和幸 CARE:パソコン信頼性解析法 日科技連
 市田嵩・鈴木和幸 信頼性の分布と統計 日科技連
 真壁肇・鈴木和幸・益田昭彦 品質保証のための信頼性入門 日科技連
 JIS B 8672-1 空気圧-試験による機器の信頼性評価-第一部 日本規格協会
 JIS B 9702 機械類の安全性-リスクアセスメントの原則 日本規格協会
 JIS B 9700-1 機械類の安全性-基本概念、設計のための基本原則-第一部 日本規格協会
 JIS B 9705 機械類の安全性-制御システムの安全関連部 日本規格協会
 WEIBULL.COM, Life Data Analysis, Quick Subject Guide e-Textbook
 電子機器の信頼度予測技法-成功のための最新ノウハウ- 関西電子工業振興センター 信頼性分科会
2)統計解析
 森口繁一編 新編統計的方法 日本規格協会
 鐵健司 品質管理のための統計的方法入門 日科技連
 田中豊・垂水共之 統計解析ハンドブック 共立出版
 中里博明・川崎浩二郎・平栗昇・大滝厚 品質管理のための実験計画法テキスト 日科技連
 永田靖 入門実験計画法 日科技連
 安部季夫 直交表実験計画法 日科技連
3)品質管理・ツール他
 永田靖 サンプルサイズの決め方 朝倉書店 


更新記録 最終更新日:2017,8,30

 更新日 更新内容
 2017,4,14  リタイヤ以降公開のための準備を進めていましたが、未だ未編集なテーマがあるもののこの度公開することに致しました。「本サイトの目的」にありますように、一般的なエンジニアの方々の特に信頼性解析の実践を支援する目的で立ち上げましたので、「これから信頼性解析に取り組みたい」、「信頼性解析のレベルアップを図りたい」、「安全規格対応で顧客からB10dの要求がありどのように対応したらいいか」など、本サイトの内容をご活用頂ければ幸いです。統計解析手法も実践面を主体にテーマを拡大していくつもりですので、今後も宜しくお願い致します。
 2017,5,2  1回目の更新として「設計FMEA」と、統計解析ツール「SA&RA ProX」を追加致しました。設計FMEAは既に多くの情報公開がなされてはいますが、エンジニアの現場としてこのツールの実効性を実感できている人は少ないのではないでしょうか。特段に新しい考え方を示した訳ではありませんが、信頼性評価(信頼性試験)と設計FMEAの実施者としてのエンジニアの観点から書きましたので、実効力ある設計FMEAを実施したいと考えている方は参考になると思います。SA&RA ProXを体験したい方は、メールアドレスによりお問い合わせ下さい。
 2017,7,10 今回の更新では「実験計画法」の理論編をUP致しました。実験計画法は最終目標として仮に品質工学やCAEを目指すとしても、避けては通れない解析ツールだと思います。実験計画法(直交配列表実験)を一度体験すると実験に対する考え方が大きく変わること請け合いですので、直交配列表実験が未経験のエンジニアの方はご一読頂ければと思います。次回のUPは実践編を予定しています。
 2017,8,30 「実験計画法」の実践編をUP致しました。実際に管理人が扱ったデータを基に書いていますので、現実味のある内容になっていると思います。まだまだ足りていないところもありますが、統計解析全般に言えることですが習うより慣れろですので、未だ経験されていなエンジニアは是非チャレンジしてみて下さい。直交配列表実験を何度か経験すると、次のチャレンジ目標(品質工学又はCAEなど)も少しづつ見えてくるかと思います。